現地に行って、会って、聞いて、考えたことが力に
第31回社会福祉研究交流集会in京都
月刊「福祉のひろば」
2026年11月号
最新号
福祉のひろば2026年11月号
特集
"いのちを選別しない社会をめざす
~第31回社会福祉研究交流集会in京都~
大谷大学をお借りして開催した第31回社会福祉研究交流集会in京都は、現地・オンラインを合わせ250名超の参加を得て、2日間を通し、
「いのちを選別しない社会」について、みんなで学び、考えました。
旧優生保護法違憲国家賠 償請求訴訟原告の鈴木由美さんが受けた手術は、優生保護法のなかでも違法な子宮全摘です。
手術室の白いライト、器具の金属音が聞こえ、「いやだ!」と叫ぶなか麻酔をかけられた鈴木さん。
術後もその景色がフラッシュバックし、からだが硬直し、PTSDによって10代、20代の青春時代を寝たきりで過ごしました。
不妊手術について祖母にたずねたところ、「ママはあんたのためにしたんやで」と言われ、母や家族への怒りや絶望感に襲われながらも、
鈴木さんは「今思えば母も被害者だったんだと思う」と話されます。
鈴木さんの出身でもある兵庫県は、当時の金井元彦知事が、優生思想にもとづく障害児出生の防止や不妊手術を強力に推進しました。
金井元知事は、1965年にびわこ学園を訪れた際、「なんてかわいそうな子なんだ」と発言し、その後「不幸な子どもの生まれない運動」(1966〜74)を県民運動として推進し、
自己負担が必要な不妊手術の公費負担などを実施しました。
その運動は全国に広がり、障害を持つ子どもの親が、周囲からの圧力のため、または本人のために良かれと思って、不妊手術を決断する、ということが多く起こったのです。
とくに女性は生理があることで、思春期になる前に手術を勧められることがありました。
周囲からの圧力、本人のために良かれと思って......ハンセン病問題とも共通する課題です。
まわりに差別されて本人が嫌な思いをしないように隔離する。生理のときたいへんだろうから、子どもができても育てられないだろうから、良かれと思って不妊手術をすすめる。
「良かれと思って」とおこなわれる人権侵害の残酷さ、そして、その根底には根深い「優生思想」があることを、あらためて突きつけられました。
福祉従事者が元ハンセン病患者の隔離に加担し、人権侵害をおこなってきた歴史があることは明らかになっています。
旧優生保護法問題においても、福祉従事者がそこに加担していなかったか、いまでも、「良かれと思って」人権侵害をしていないか......
人権を守るとりでである福祉従事者は、つねにそのことを意識しながら仕事に向き合い、そして、おかしいことはおかしいと先頭に立って声をあげる役割があるのだと感じました。
(編集主任)
(編集主任)
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