福祉のひろば 2026年7月号商品コード:hiroba-202607
特集 ”自助・共助・公助”を問い直す
「社会保障費の増大が国の財政を圧迫している」という政府からの絶え間ない発信をもとに、日本の社会保障は、まずは自助努力・自己責任でがんばる「自助」があり、その次に家族や地域で支え合う「共助」、それでもダメなら「公助」というような、「自助・共助・公助」の順番論、バランス論が前提のように語られています。
自助・共助・公助を前提とした日本型福祉社会論が展開されはじめるのは1970年後半ごろからですが、それを法律として位置づけたのが、2012年8月に施行された社会保障制度改革推進法です。
今号の特集では、あらためて「自助・共助・公助」論が示すもの、その歴史的経過と問題、そして社会保障の本来あるべき姿について、井上英夫さん(金沢大学名誉教授)に整理していただきました。
自立・自助を前提とし、「地域共生」「一億総活躍社会」という言葉に代表されるような家族・地域での支え合い、そして、前号特集の「障害のある人の『六五歳問題』」に代表されるような「社会保険優先原則」を共助と位置づけ優先させる国の方針は、住民の福祉の増進を図り、権利としての社会保障を実現しようとする地方自治体の役割、そこで働く自治体労働者の仕事と矛盾します。
そこでの葛藤や、日々の仕事のなかで感じる「公」の役割、社会保障の役割を、岩菅友里子さん(愛知県名古屋市)と村越匠さん(東京都足立区)にうかがい、本誌全国編集員でもある二見清一さん(自治労連社会福祉部会事務局長)にまとめていただきました。
永岡正己さん(日本福祉大学名誉教授)は、そもそも「共助」とはなにか、社会保障・社会福祉の歴史から、「自助」も「共助」も公共性をつくりだしていくものであり、公的責任として生活保障のしくみに位置づけられるべきだと指摘します。
社会保障は、人類の歴史のなかでたたかい、勝ち取ってきた公的責任による人権保障であり、「公助」ではなく「権利」です。そのことをうやむやにしてしまう「自助・共助・公助」の問題を、あらためて問い直したいと思います。
【ひろばトーク】
アダプテッド・スポーツの知見を、明日のケアの現場へ
河野 喬 6
●特集● “自助・共助・公助”を問い直す
現場と制度をつなぐ公の役割 岩菅友里子
生活保護行政の役割の現状と課題 村越 匠
「権利としての社会保障」を実現する自治体職員の役割とは
二見 清一
地域福祉から考える“自助・共助・公助” 永岡 正己
社会保障は「公助」ではない
社会保障制度改革推進法の改正、廃止を 井上 英夫
●トピックス●
〈座談会〉「暮らしの場」の選択を保障するために
連載「なかまと職員と家族と、ともに築く暮らしの場」をふり返って
もっとグラビア
平凡な日常をこわす改憲・戦争をゆるさない 小林 里美
福祉の市場化に抗し、人権保障としての福祉を守る 西田 知也
第31回社会福祉研究交流集会in京都のご案内
●連載●
海の中から地球が見える 武本 匡弘
第3回 地球規模で広がったサンゴの「白化現象」
『福祉のひろば』とわたし(4)
福祉関係者が幅広く手をつなぐために 細川 順正
政治を見る目
第4回 消費税を見る目を養おう 長澤 高明
世界と交流する平和の船に乗ってみた!(南半球編)
第4回 働く子どもたちの人権を守り支援するマントック
根津眞澄+オット
世界のソーシャルアクション!
ミリタンが切り拓く福祉(フランス・後編) 安發 明子
JОB&ACTION 全国福祉保育労働組合(64)
NPT再検討会議に4人の組合員が参加
私の履歴書 社会福祉経営全国会議(64)
だれもが自分らしい暮らしがおくれるように 石川 修
阿修羅がゆく わたしが好きな釜ヶ崎(84) 水野阿修羅
育つ風景 給食室から保育がみえる 清水 玲子
映画案内 『埋もれた青春』 吉村 英夫
現代の貧困を訪ねて 生田 武志
大原孫三郎・總一郞、山川均・菊栄、石井十次(その9 大原孫三郎による倉敷の形成)
似らすとれーしょん道場 似顔絵まんがアート
10周年じゃ!! ラッキー植松
ホームレスから日本を見れば ありむら潜
モトコの66歳えぶりでぃ 川口モトコ
みんなのポスト /福祉の動き /今月の本棚
●グラビア● 広がる行動、思いはひとつ