福祉のひろば 2025年9月号商品コード:hiroba-202509
特集 日韓の若者とともに考える 労働と居住の未来像
総合社会福祉研究所では七月二日、若者の労働と住まいの問題にかかわって活動している日本と韓国の団体に登壇いただき、「日韓の若者とともに考える労働と居住の未来像」をテーマに、オンラインでシンポジウムを開催しました。
青年世代というのはそもそも、子どもから大人への移行期であり、さまざまな不安定な要素をはらんでいます。子どもとして保護される対象から外れ、学生から労働市場へと参入していくことになります。そうした移行期を支えてきたのが、家族の存在や安定した労働市場でした。
しかし、日本においても韓国においても、貧困と格差の拡大や労働の不安定化がすすむなか、頼れる家族がいなかったり、権利が守られていない労働環境におかれている若者がとても増えています。
また、韓国青年ユニオンのキムさんが指摘してくださっているように、青年世代は、社会の変化や技術の発展のなかでめまぐるしく変化する労働形態や労働市場の変化を、もっともはやく経験する世代です。そうした変化による権利侵害をゆるさず、自己責任に帰せず、対話による連帯を広げていくことが、「分断」がすすむいまの社会のあり方に対抗していく希望になるはずだと、首都圏青年ユニオンの冨永さんは話してくださいました。
「労働」と「居住」は一見別物のように見えますが、労働も居住も、生きるために不可欠な守られるべき権利です。釜ヶ崎支援機構の実践からは、その両輪での支援の重要性がとてもよくわかりますし、韓国でも、「住まいは人権」を掲げた運動にとりくんでいます。
韓国の団体からは、何度も「連帯」という言葉が語られました。あたらしい時代の「連帯」をどんなかたちで、どう広げていくのか、若者が置かれているきびしい実態が語られながらも、共通した可能性や希望も見えたシンポジウムになりました。
【ひろばトーク】
「逆転しない正義」と「排除しない街・西成」 船岡 敏和
●特集● 日韓の若者とともに考える 労働と居住の未来像
日本と韓国の若者の労働と居住の問題 岡部 茜
労働法の外で働いているみんなのそばに キム・ジヒョン
個人主義に対抗できる労働運動を 冨永 華衣
家を所有しなくても安心して住める社会をめざして
キム・カウォン
段階的な就労支援と安心できる居場所保障の両輪で 小林 大悟
〈トーク〉若者の権利保障を求めて
●トピックス●
自然とくらしと地域をまもる農業政策を 宇田 篤弘
「恵」問題で果たした労働組合の役割 西田 知也
釜ヶ崎から学んで、自分のまちを考えよう
――第12回釜ヶ崎のまち短期留学
●連載●
阪神・淡路大震災発生から30年 第6回 正井 禮子
災害時の女性への暴力、人権侵害とたたかって(後編)
なかまと職員と家族と、ともに築く暮らしの場 辻 英子
息子ができるだけ安心して次の住まいへ移れるように
続・ヘルパー歳時記 「その人らしい暮らし」とは②
WORK WORK──わくワク──
「くらす」と「はたらく」を支える場として
シャロームみなみ風
JОB&ACTION 全国福祉保育労働組合(54)
「生活保護裁判」にかかわって
私の履歴書 社会福祉経営全国会議(54)
子どもたちを支える保育の「仲間のチカラ」を実感! 石口 俊一
阿修羅がゆく わたしが好きな釜ヶ崎(74) 水野阿修羅
育つ風景
保育園のなかで子どもの拠りどころになっている人 清水 玲子
映画案内 『碁盤斬り』 吉村 英夫
現代の貧困を訪ねて 生田 武志
「いのちのとりで裁判」の最高裁判決で原告が勝訴
似らすとれーしょん道場 似顔絵まんがアート
おにぎり総理じゃ! ラッキー植松
ホームレスから日本を見れば ありむら潜
花咲け! 男やもめ 川口モトコ
みんなのポスト/福祉の動き/今月の本棚
●グラビア● 現地の声から学ぶ、災害と福祉