旧日本軍の性暴力被害者訪ねて――ナヌムの家訪問報告会
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大阪民主新報06年10月29日

 旧日本軍の性暴力被害者訪ねて
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神戸女学院大学


 旧日本軍による「従軍慰安婦」問題で、韓国広州郡にある性暴力被害者のハルモニらが暮らす「ナヌムの家」を訪れた学生らの訪問報告会が17日、大阪市天王寺区内で開かれました。総合社会福祉研究所と大阪の福祉関係者でつくる9条・25条の会が共催したもの。
 「従軍慰安婦」は、旧日本軍が朝鮮や中国、東南アジアなどの侵略地域に約400ヵ所設置した慰安所で、兵士を対象に「売春」を強要された女性たちのこと。慰安婦にされた女性の数は、8万人とも20万人とも言われ、その多くが、当時日本の植民地にされていた朝鮮をはじめ中国や東南アジアで、日本政府が警察権力などを使って強制的に連行されました。
 従軍慰安婦問題は、日本軍国主義が行った非人間的な国家犯罪で、国際的には「慰安婦」の用語は用いず「性奴隷」「性暴力被害者」と認められています。過去の歴史に無反省な態度を取りつづけてきた日本政府に対し、91年、韓国の元従軍慰安婦らが謝罪を求めて日本の裁判所に提訴。大きな社会的関心を集め、支援活動も広がっています。ナヌムの家は、被害女性たちの生活を支えようと90年代に建設。現在、ハルモニら約10人が支援団体の協力を得て共同生活を送っています。98年には敷地内に「日本軍『慰安婦』歴史館」も建てられ、連日、多くの韓国人や日本人、世界各地の人々が訪れています。歴史館には、日本軍が各地に設置した慰安所の分布図や慰安所内部を復元した部屋、ハルモニたちが描いた絵など、貴重な資料が多数展示されています。ナヌムの家を訪問したのは、神戸女学院大学の石川康宏ゼミの学生たち。9月11〜14日に、ナヌムの家でハルモニたちと交流した他、首都ソウルの日本大使館前で開かれている水曜集会に参加しました。
 石川康宏教授がスライドを使って韓国訪問の様子を紹介したのに続き、文学部3回生の田仲友美(21)さん、田中丸佐代さん(21)、西田あゆみさん(21)が発言。「復元された慰安所の中に入って、被害者たちの気持ちが少し分かった気がします」「『日韓は兄弟のように仲良くしなければ』と話してくれたハルモニの言葉に感動しました」「加害の事実を認めない日本政府の態度に、怒りを感じます。学んだ真実を多くの人に伝えていきたい」などと語りました。
 石川ゼミによる韓国訪問は04年に始まりことしで3年目。学生たちの学習と交流の内容は、『ハルモニからの宿題−日本軍「慰安婦」問題を考える』(冬弓社)、『「慰安婦」と出会った女子学生たち』(新日本出版社)として出版されています。

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