福祉のひろば 2026年6月号商品コード:hiroba-202606
特集 障害者の「65歳問題」が問いかけるものⅡ
千葉市に住む天海正克さんは、障害の状態に変化がないのに、65歳になったという理由だけで、制度の目的が異なり、また月1万5000円の利用者負担のある(天海さんは住民税非課税世帯であったため、利用者負担なしで障害者総合支援法による居宅介護サービスを利用していました)介護保険に移行させられるのはおかしいという思いで、介護保険を申請しませんでした。
これに対し千葉市は、天海さんが介護保険を申請しなかったため、必要な障害福祉サービスの支給量を算定することができないからという理由で、天海さんが利用していた障害福祉サービスをすべて打ち切りました。天海さんはこれを不服として千葉市を訴え、2025年7月17日、最高裁は原告勝訴判決を破棄し、東京高裁に差し戻すとの判決を下し、現在も係争中です。
今号では、あらためて介護保険優先原則の問題について、そもそも「優先」とされる介護保険制度の問題から考えたいと思い、高齢福祉分野の阿部孝志さん(特別養護老人ホームやわら木苑施設長)や西岡修さん(社会福祉法人白十字会理事長)にもご協力をいただきました。国が「優先」させようとする介護保険制度が、高齢者の生活を守る制度になり得ていないこと、利用者負担をともなう社会保険制度であることによる矛盾が、障害福祉から見ることでより鮮明にうつります。
障害の有無や年齢によって利用できる福祉制度が異なり、またその理念や目的が異なることのおかしさを、「65歳問題」は問うています。あらためて、生活を支える福祉制度のあるべき姿、「人権が守られている生活」の中身について、分野を越えて考えたいと思います。
【ひろばトーク】
強制不妊手術問題を追い続けて 森 敏之
障害者の「65歳問題」が問いかけるものⅡ
天海訴訟の概要
天海正克さんの1日 中島 素美
天海訴訟について自治体職員として感じること 二見 清一
〈座談会〉障害者の「65歳問題」が問いかけるものⅡ
河合克義/塩見洋介/西岡修
●トピックス●
〈座談会〉 ホームヘルパーの実践を守りたい
~連載「続・ヘルパー歳時記」を終えて~
無料低額診療事業から見える生活の地盤沈下
まなびあい、平和への願いを伝えつづける
安易に「共同親権」を選択しない、させない
第31回社会福祉研究交流集会in京都のご案内
●連載●
海の中から地球が見える 武本 匡弘
第2回 サンゴ礁が育む生物多様性と、壊れゆく海のいま
『福祉のひろば』とわたし(3)
「財団はひとつ」の流れのなかで 西芝 圭亮
政治を見る目
第3回 国家予算を見てみよう 長澤 高明
世界と交流する平和の船に乗ってみた!(南半球編)
第3回 未来への希望を胸に大海原を越えた人々
根津眞澄+オット
世界のソーシャルアクション!
ミリタンが切り拓く福祉(フランス・前編) 安發 明子
JОB&ACTION 全国福祉保育労働組合(63)
正規と非正規の不合理な格差の解消を
私の履歴書 社会福祉経営全国会議(63)
企業戦士から福祉事業管理者への変身 池田 博
阿修羅がゆく わたしが好きな釜ヶ崎(83) 水野阿修羅
育つ風景 子どもからの学び方 清水 玲子
映画案内 『ローマの休日』 吉村 英夫
現代の貧困を訪ねて 生田 武志
釜ヶ崎で毎冬つづく野宿者の死
似らすとれーしょん道場 似顔絵まんがアート
もひとつ冬のオリンピックじゃ! ラッキー植松
ホームレスから日本を見れば ありむら潜
モトコの66歳えぶりでぃ 川口モトコ
みんなのポスト/福祉の動き/今月の本棚
●グラビア● 自分の生き方は自分で選択する
~天海正克さんの1日~