福祉のひろば 2025年8月号商品コード:hiroba-202508
特集 「平和」を見失わないために
教育と福祉から問いつづける
朝食を食べながら見るニュースで毎日のように報道される爆撃のようすを前に、小学校三年生の娘に、「どうしたら戦争は止められると思う?」と聞いてみました。以下、娘のこたえです。「クラスにも、すぐに手を出してよくケンカする子っているやん。コウタもすぐに手が出るからみんな怖がったりやり返したりするけど、私とか保育園から一緒の子らはべつにコウタのこと怖くないし、コウタも私らにはいじわるしたりせーへんねん。だから、なんかトラブルがあったら、私とかが間に入って止めたり話し合ったりするねん。そうやって間に入れる人がいたら、戦争も止められるんじゃない? なんで子どもでもできるのに、大人ができへんの?」。
また、「相手が先に攻撃してきたら、やり返す?」と聞くと、「やり返さない。やり返して戦争になったら、絶対に死ぬ人が増えるし、まちも壊れるやろ? だれか一人でも死んだら勝ってもうれしくない。しあわせじゃない。そんなんどっちも負けやん」と。こんなにしっかり答えが返ってくるとは思っていなかったので、おどろき感心しつつ、あらためて、「戦争しないために軍拡が必要」はまちがいだと、娘に確信をもらったように思います。
毎日のように人が人を攻撃し殺害するようすが報道され、軍拡は避けられないかのような雰囲気が広がりつつあるいまだからこそ、あらためて、人間がもっとも大切にしなければいけないことはなにか、平和とはなにかを問い直す必要があると思います。戦争の背景には、戦争で儲かる人たち、自分さえよければいいと立場を守ろうとする人たちの存在があります。人のいのちより自分や自国の利益を優先する価値観に抗えるのは、子どもや障害のある人、お年寄りのいのちと日々の暮らし、人権、発達を保障するために日々奮闘している社会福祉の実践であり、価値観だと思います。
【ひろばトーク】
「原爆の絵」 記憶を描き、継承する高校生たち 福本 弥生
●特集● 「平和」を見失わないために 教育と福祉から問いつづける
被爆体験を聞き、平和について考え、自分の言葉で話す
音楽をとおして、子どもたちと平和を考えたい 輪島 扇歌
福祉の世界から、戦争へと向かう社会に抗うために 藤井 渉
元イスラエル軍兵士が伝える、平和のために必要なこと ダニー・ネフセタイ
核兵器も戦争もない世界をめざしてv 大村 義則
●トピックス●
「いのちのとりで裁判」最高裁で原告勝訴! 申 佳弥
“不断の努力”をこれまでも、これからも 申 佳弥
──障害者自立支援法違憲訴訟基本合意から15年をふり返って
SNS時代に考える選挙のあり方 冨田 宏治
第30回社会福祉研究交流集会in能登のご案
●連載●
阪神・淡路大震災発生から30年 第5回 正井 禮子
災害時の女性への暴力、人権侵害とたたかって(前編)
なかまと職員と家族と、ともに築く暮らしの場
「グループホームに泊まらない」の背景にあるもの 中川かずこ・渡邊照予
続・ヘルパー歳時記 「その人らしい暮らし」とは①
WORK WORK──わくワク──
心を射すしろつめの特選茶 就労継続支援B型事業所しろつめ
JОB&ACTION 全国福祉保育労働組合(53)
政府交渉で現場実態を伝え、改善せまる
私の履歴書 社会福祉経営全国会議(53)
子どもを預ける側から預かる側に 青木 久
阿修羅がゆく わたしが好きな釜ヶ崎(73) 水野阿修羅
育つ風景
保育園の一時保育から地域の子育てとつながる 清水 玲子
映画案内 『万引き家族』 吉村 英夫
現代の貧困を訪ねて 生田 武志
大原孫三郎・總一郎、山川均・菊江、石井十次(その2)
似らすとれーしょん道場 似顔絵まんがアート
コメ大臣じゃ! ラッキー植松
ホームレスから日本を見れば ありむら潜
花咲け! 男やもめ 川口モトコ
みんなのポスト /福祉の動き /今月の本棚
●グラビア● A Disabled-dancer