福祉のひろば 2020年5月号商品コード:hiroba-202005
特集 だれのための保育・教育?!
”10の姿”と道徳の教科化を考える
今号の座談会は、もともと三月二一日に公開学習会として開催する予定でした。好評で参加申込みも多数いただいていましたが、新型コロナウイルス感染拡大予防のため、報告者のみの座談会とさせていただきました。
大前提として、人には自由に生きる権利があります。自分が生きたい生をまっとうする権利があります。しかし同時に、人は一人では生きていけません。一人ひとりの自由に生きる権利を尊重しつつ、同時に助け合い、支えあい、よりしあわせで楽しい人生を送るために、社会があるのだと思います。
「自由」と「共存」、この二つを最大限達成するために、自分と異なる意見や思いをもつ他人の存在を認め合い、譲り合ったり、助け合ったり、ときにはガマンすることも必要になってきます。そのときに、いっていのルールやいわゆる“道徳心”のようなものが必要とされるのだと思いますが、それは一人ひとりの権利を守り、最大限自由を尊重するために、人とともに生きていくなかで自分自身で気づき、つちかっていくものです。
そうしたことを生活のなかで体感し、なかまとともに学んでいく場が保育や教育の場だと思いますが、とくに日本の教育においては、そもそも一人ひとりが自由に考え、その思いが尊重されて生きる権利があるという前提がないがしろにされ、道徳心をもつこと自体が目的になっているように思えてなりません。 (編集主任)
【ひろばトーク】
読み手が書き手に 鴨井 慶雄
●特集● だれのための保育・教育?! “10の姿”と道徳の教科化を考える
必要なのは“10の姿”ではなく、わかり合えるよろこび 平松 知子
考え、議論し、わかり合う道徳をめざして 古本 寿子
社会を生き抜けるための道徳を 今井 政廣
子どもが育つ権利、子どもを育てる権利とはなにかを考え 垣内 国光
[討論] 国家が求める「よい子」づくりに流されないために
●サブ特集● 第5回陸前高田学校開催に向けて岩手県へ
【座談会】震災から9年 陸前高田市のくらし
前川慧一さんをたずねて宮古市へ
久慈市のひろば読者のみなさんと交流しました
●トピックス●
2週間おふろに入れず……デイサービス休業要請を受けて 小早川弘江
新型コロナウイルス感染症と向き合うために ~公衆衛生医師の視点と親の視点から~ 吉田穂波・敦
中国・上海のいま 荒川 亜樹
ひろば読者のつどい──水野阿修羅さんを招いて
結成50周年をむかえた障連協 塩見 洋介
●連載●
阿修羅がゆく わたしが好きな釜ヶ崎(10) 水野阿修羅
相談室の窓から あそびから見えるK男くんの思いや意欲のふくらみ 青木 道忠
育つ風景 いたずらの入るすきま 清水 玲子
ひととしてあたりまえに生きたい 大阪聴力障害者協会会長として(3) 清田 廣
映画案内 『グリーンブック』 吉村 英夫
現代の貧困を訪ねて コロナウイルス不況と生活困窮 生田 武志
似らすとれーしょん道場 似顔絵まんがアート 顔のない「似顔絵」じゃ! ラッキー植松
ホームレスから日本をみれば ありむら潜
花咲け! 男やもめ 川口モトコ
みんなのポスト 60/福祉の動き 78/今月の本棚 81
●グラビア● 希望を胸に、みらいへ