福祉のひろば 2016年7月号商品コード:hiroba-201607
今回の特集では、大海から井の中を見てみようという試みだが、ここは、ただ単に大海から見るということだけでなく、そこからまた、井の中の真実も浮き彫りにならないかとのねらいもある。
最近おどろいたことに、国の財政審議会や規制改革委員会などで、「憲法の社会保障の『国家責任、最低生活保障、無差別平等の原則』は、アメリカが持ち込んだ考えで、日本独自の考えではない。日本が独自に、社会保障の考えを打ち出すときが来ている」という動きだ。主権在民を否定し、さまざまな主権者としての国民の位置を実態と国家の枠組みから崩そうとしている。ましてや、昨年来の違憲の安保法制も根を一にする。
そういえば、元内閣法制長官の阪田(さかた)雅裕(まさひろ)さんは、「集団的自衛権を行使するということは、その敵となる国に、我が国を武力攻撃する大義名分を与えることになり、かえって国民を危険にさらす。抑止力は、アメリカによりいっそうの協力をしないと、いざというときに米軍が日本を守ってくれない、日米軍事同盟以上のことが発生する根拠が説明されていない。安保法制に基づいて行われる自衛隊の海外派兵が法律に適しているかどうか、我が国に必要なことなのかどうかを監視していかなければなりません。安保法制は、自衛隊の海外活動を義務付けているわけではなく、これから行うことができるというものです」(全国革新懇新聞)と発言している。
今回の、七月号特集の海外からみた社会福祉、国家責任問題は、そのようなねらいから企画した。(編集主幹)
【ひろばトーク】
沖縄県に平和と安全が訪れる日はいつか? 伊藤わらび
●特集 井の中の蛙大海を知る(海外の福祉から学ぼう)
【鼎談】
海外では、ヘルパーの役割と社会的地位をどのように考えているのか
──世界のヘルパーにであう旅を通じて── 藤原 るか
「幸せのものさし」を北欧と日本で考える 薗部 英夫
──二十数年来、北欧の小さな町の障害者のくらしを訪ねて──
寛容政策が罪を犯してしまった人の社会復帰を手厚く支援する国 石倉 康次
【討論】 藤原・薗部・石倉
●サブ特集 社会福祉と国家を考える
【対談】 伊藤文人・浜岡政好 28
●トピックス
600人規模の認定こども園をほんとうにつくるの?申 佳弥
熊本地震◆被災施設への緊急支援に参加して ――二つの震災支援から見た防災対策── 中村 公三
障害のある人の所得保障と、家族依存からの脱却が急務 ――きょうされん「障害のある人の地域生活実態調査」
週2回(火・土)、デイサービスに通う小川政亮さん
福祉の原点をわすれないでください――早川一光さん(92歳)が立命館大学で講演
かけがえのない一票で、憲法25条を守る政治を実現させよう! ──分野・領域を超えた多くの方々が集結──
第22回社会福祉研究交流集会in京都
●連載
フォーラム 運動の広がりこそ、情熱を切り拓くちから 福井 典子
施設から子どもたちの未来をきりひらく――子どもの居場所をゆたかに 吉岡美佐穂
相談室の窓から 中年のひきこもり問題を考えたい(1) 青木 道忠
育つ風景 「保育士にならない決意_」 清水 玲子
「助けて!」って言ってもええねんで! なんとか一緒に生きのびよう! 徳丸ゆき子
全盲夫婦の出会いから 二人三脚のあゆみ 千田勝夫・絹枝
移動の自由をもとめて(4)――駅ホームは欄干のない橋・その2
映画案内 『海街Diary』 吉村 英夫
現代の貧困を訪ねて 生田 武志
「世襲資本主義国」日本は、「世襲格差社会」になった
似らすとれーしょん道場 似顔絵まんがアート 「デフォルメ」するのじゃ!! ラッキー植松
ホームレスから日本を見れば ありむら潜
花咲け!男やもめ 川口モトコ
●グラビア
泰緬(たいめん)鉄道(過酷な建設労働で・死の鉄橋・と呼ばれた)・ クワエ川鉄橋 ~タイ・カンチャナブリ~