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総合社会福祉研究 第20号 (2002年3月)商品コード:kiyou-020

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特集 新自由主義批判と福祉国家をめぐって
(2002年3月 刊行)

今回は年度末ギリギリのところでの発行となりましたが、特集テーマは、幅広い関心を集めている「新自由主義批判と福祉国家をめぐって」というものです。
特集に含まれる各論文はつぎのとおりです。(掲載順)
?「福祉国家論と日本の課題」高島進、?「新自由主義批判と新しい福祉国家の創造-『聖域なき構造改革』にどう対応するか」後藤道夫(本論文は、昨年の第七回社会福祉研究交流集会記念講演に加筆したもの)、?「『構造改革』は新自由主義の改革なのか-『新自由主義改革の対抗軸としての新福祉国家』論をめぐって-」石川康宏、?「『福祉国家』と社会福祉の基層」岡崎祐司
他に特集外では、四本の論文、二つの海外情報、同じく二つの書評、一本の現場実践レポートは、いずれも充実した中味のものばかりです。
「総合社会福祉研究」未購読の会員のみなさんはこの機会にぜひ定期購読をお願いします。

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『総合社会福祉研究第二〇号』
特集・新自由主義批判と福祉国家をめぐって

[評者]後藤 嘉輝●東京社会保障推進協議会事務局長
小泉構造改革のもとで、日本の医療・福祉の民営化がすすみ、大多数の国民が健康、将来に対する不安をかかえて生活しています。憲法二五条の生存権の保障として切り拓かれてきた社会保障の領域を、契約によりお金による売買にまかせようという社会保障の「理念の見直し」が強行されつつあります。新自由主義、新保守主義という逆流、社会保障の理念の見直しに打ち勝つ力をつけていかなければなりません。今回の特集「新自由主義批判と福祉国家をめぐって」は、今後に示唆を与える絶好の良書です。
最初に高島進氏の「福祉国家論と日本の課題」 は、『福祉国家とは何か』と筆者の『福祉国家はこの国では未成立と捉えるべきか』の根拠を示しています。福祉国家概念の曖昧さ、歴史的具体性からみて三段階から考察しています。三段階とは?市民革命期における人間的生存権要求の出現とその否定―救貧法と近代的慈善事業?「自由」から「改良」へ-「個人貧」から「社会貧」への貧困理解の展開?福祉国家への必要の発展としています。日本における低福祉構造は、「戦前における低福祉構造と戦後の民主化と限界にある」と指摘しています。そのうえで、日本は福祉国家といえず、福祉国家の本格的な政策が求められるとし、日本の歴史的な弱点を克服して、本当の「福祉国家」を建設しなければならないと結んでいます。
後藤道夫氏の「新自由主義主義批判と新しい福祉国家の創造」 副題『聖域なき構造改革』にどう対応するかをテーマに述べています。現在進行中の「社会福祉基礎構造改革」は、社会全体のいろいろな領域で同時進行で起きている、大変激しく広い改革と一体のものであるということ、これが一つめのポイントです。二つめのポイントは、それらの激しい改革の推進力は、実はほぼ同じところから出ていることです。三つめは、福祉の改悪を含めて、構造改革で苦しむのは国民の大多数であるということです。四つめは、いろいろな領域の抵抗運動と手を携えて、社会福祉・社会保障の領域で運動をやって頂きたいことをあげています。現状と実態をあわせて説明し、理解しやすい表やグラフを使用しています。その上で、社会保障改悪反対と「構造改革」諸領域での抵抗の連携を呼びかけています。
石川康宏氏の「『構造改革』は新自由主義の改革なのか」 副題『新自由主義改革の対抗軸としての新福祉国家』論をめぐってを展開しています。2002年度国民生活関連予算の切り捨てにあたっては、以前から国民への「市場原理主義や自己責任原則」の強制、いわゆる「新自由主義」の思想を活用したイデオロギー攻撃がかけられてきています。そして、渡辺治・二宮厚美・後藤道夫氏等の「新自由主義の対抗軸としての新福祉国家」論をめぐって問題提起を行なっています。橋本内閣は「新自由主義改革」の政権だったか。小泉内閣は「新しい政治」の担い手なのか、「ゆきづまり」は自民党政治の自然崩壊を意味するものでなく、その転換のためには国民本位の新しい政治の提案と、これを国民多数の合意にしていく運動の力が必要なことは当然としています。
岡崎祐司氏の「『福祉国家』と社会福祉の基層」 では、労働者階級にとっては成果としての社会生活の安定や国民統合のシステムが果たしている現実の異議や有効性を確認して、それらを階級支配や資本主義的競争を貫くための手段から解放して国民本位の制度・機関につくりかえていく運動を高めることが、新たな体制を展望することにつながるだろう。「福祉国家」の幻想ではなく、「福祉国家」の現実に足場をおいた議論が「福祉国家」解体や「構造改革」への対抗軸を模索するうえで求められる。「福祉国家」をどうとらえるべきか、それを社会福祉の形成とかかわらせて考察しています。日本における「福祉国家」解体路線は「構造改革」路線という日本型企業社会の再編を伴ってできていることが特質です。ただし、一面では社会的規制や公共政策を拡大して国民生活の安定機能をはたしていくが、多面では国民生活を不安定化させ国民の利益を侵害する問題がおこる。「福祉国家」形成の三つのルートの中で、階級社会における地方自治体の民主化と住民運動、社会サービスの意義にふれています。
政府の「社会福祉基礎構造改革」のなかで、介護保険制度の創設から医療大改悪への攻撃、それから年金制度の再度の見直し、社会保障の抜本改悪に向けて動いています。この根幹にある「新自由主義」批判と日本の新福祉国家への道を切り拓くために、是非ご一読を期待します。
(ごとうよしてる)

特集◎新自由主義批判と福祉国家をめぐって
福祉国家論と日本の課題 高島進
新自由主義批判と新しい福祉国家の創造
-「聖域なき構造改革」にどう対応するか 後藤道夫
「構造改革」は新自由主義の改革なのか
-「新自由主義改革の対抗軸としての新福祉国家」論をめぐって- 石川康宏
「福祉国家」と社会福祉の基本関係 岡崎祐司
<論文>
高齢者の生活実態とこれからの社会保障・社会福祉 金澤誠一
地方自治法「改正」と社会福祉 本多滝夫
少子化地域の子育ての現状と課題
-鹿児島県下地方版エンゼルプランの策定- 郷地二三子
介護保険施行2年ホームヘルパーの劣悪な諸条件の実態
-実態の中に見える諸条件改善の展望- 宇和川邁
<海外福祉情報>
アメリカの保育事情から何を学ぶべきか 中山徹
イギリスの医療保障の現在 国京則幸
<書評>
成瀬龍夫著『国民負担のはなし』自治体研究社、2001年7月 福島利夫
大曽根寛著『成年後見と社会福祉法制-高齢者・障害者の権利擁護と社会的後見-』法律文化社、2000年7月 濱畑芳和
<現場実践レポート>
「ケアステーションかんざき」の設置と事業の展開-広域での新たな連携づくりの模索- 谷義幸

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