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福祉のひろば 2012年11月号商品コード:hiroba-201211

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福祉のひろば 2012年11月号

【特集】原発事故後の福島での生活と福祉 ─第18回社会福祉研究交流集会in福島─

私の住むまちの役所を軸に、避難指示の3キロ、10キロ、20キロ、30キロ半径の円を描く。そして、地震と津波と原発事故が襲いかかった福島のわずかな情報と見聞で想像し、その中で生き続けている福島の人たちの願いや思いを重ね合わせる。今回の社会福祉研究交流集会では、現地だからこそ聞ける大切なメッセージを伺った。

東京電力福島第一原子力発電所(以下、第一原発)は、東北の福島県大熊町と双葉町にまたがる東京ドーム75個分、350万平方メートルの敷地の海側に6基の原発が並ぶ。アイゼンハワー米大統領が、1953年に国連で原子力の平和利用演説を行い、原発導入先にあげられた国土の狭い日本は、広島、長崎の原爆に続き、54年3月1日のビキニ事件にもかかわらず、原子力の「平和」利用と「安全」、そして利権の原子力ムラの構築で原発建設を強行してきた。第一原発1号機は、71年に営業運転開始、79年の6号機まで順次稼働。つくられた電気はすべて関東に送られる。

2011年3月11日、第一原発敷地内で、協力会社の作業員5,660人、東電社員755人の計6,415人が働いていた。14時46分、震度6強の地震。福島第一・第二原発は自動停止し、大津波により、第一原発は全交流電源の喪失に至る。電源がないと冷却不能、核燃料は過熱し溶けだす。事実、メルトダウン。1号機、3号機、2号機(見解は「爆発音」)の爆発やベント等、事故後1週間で77万テラベクレルという途方もない放射性物質を撒き散らす。原発事故レベル7は、チェルノブイリ事故と同じ。前年、菅首相(当時)は、最終廃棄物処理まで支援する約束で、ベトナムへの原発売り込みに直接乗り出し、契約を締結していた。

政府・東電は、指摘された安全策をとらず「想定外」を合言葉に責任放棄。事故対応も、一貫して偽りの安全の過信と対策不備で、事態をいっそう悪化させた。原子力災害対策特別措置法10条通報、同15条通報。該当は非常用炉心冷却装置注入不能。法令では、15条通報を受けた首相は直ちに原子力緊急事態を宣言しなければならない。が、政府の緊急事態宣言は2時間32分後の19時45分。しかも、「対象区域内の居住者、滞在者は現時点で特別な行動を起こす必要はない。原子炉はしっかり停止した」と記者会見。だが、事態は進行し続ける。21時23分、首相は予防的な避難範囲としている3キロ圏内の住民に避難、3〜10キロ圏内住民に屋内退避を指示。ここでも政府は「念のため」。福島県は、その前の20時50分、独自判断で2キロ圏内に避難要請決定。翌日午前5時45分、政府は避難範囲を10キロ圏内に拡大。そして、20キロ圏内、30キロ圏内に広がる。

この出来事を自分の住むまちに置き換え、暗闇での避難をイメージしても容易でない。まして、地震、津波で罹災した人々に、避難指示や避難行動はいかばかりだったか。放出された放射性物質は「無主物」で、降り落ちた土地の所有者のものになるという東電の見解や東京地裁判決はあまりにも福島に失礼ではないか。これも、憲法を無視する国の社会保障政策と同じ、「自己責任」でごまかすのか。

(編集主幹 黒田孝彦)

表紙の絵と写真

絵=神門やす子
写真=下野祇園

カット

川本 浩

ひろばトーク

とにかく手にとって、読んでほしい9月号 西岡 修

特集

原発事故後の福島での生活と福祉 ─第18回社会福祉研究交流集会in福島─

[報告] 原発被害と暮らし・福祉─南相馬、飯舘
渡邊とみ子・澤田忠徳・西みよ子
[講演] 福島の現状と復興に向けた課題 丹波史紀
[リレートーク] 原発被害と暮らし・福祉
中村雅彦・鈴木庸裕・松崎暁世

報道されない福島県民の苦難
鈴木隆夫・倉持 惠・天野和彦・北村育美

連載

フォーラム この夏の宿題 相野谷 安孝

ひとつのこと─社会福祉労働と私たちの実践
認め合える関係をめざして 高鷲保育園

連載 小川政亮 第二部 自伝(8)
沖縄へ、そして社会保障裁判とかかわりつつ 小川 政亮

相談室の窓から 頑張りすぎないで(2) 青木 道忠

わらじ医者 早川一光の「よろず診療所日誌」
不思議、ふしぎ、人間のつくり(その11) 早川 一光

よりあって おりあって──宅老所よりあい物語──
「はじめまして」からはじまる 下村恵美子

育つ風景 ルールって? 清水 玲子

穂波のアメリカ子育て事情 マサチューセッツ州のメディケイド 吉田 穂波

映画案内 『終の信託』 吉村 英夫

現代の貧困を訪ねて 反貧困全国キャラバン2012 生田 武志

施設訪問ボランティア 心と心、地域をつなぐ お助けマンちむちむ

私の研究ノート 在宅介護する家族と地域とのつながり
─小規模多機能ホームの実践から─ 内藤 智子

ホームレスから日本を見れば ありむら潜

花咲け!男やもめ 川口モトコ

みんなのポスト/今月の本棚/しりとりであそぼう!&憲法クイズ/福祉の動き

グラビア

釜ヶ崎に響く70年代ヒットソング─たそがれコンサート─

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