福祉のひろば 2018年11月号商品コード:hiroba-201811
特集
農村医療のパイオニア、佐久総合病院(JA長野厚生連)の歴史といま
戦後日本は、地方自治を憲法で位置づけました。憲法第九二条、地方自治の基本原則。そして、住民自治と団体自治について、九三条と九四条に記しました。住民自治とは、地方自治は住民の意思によって行われるべきだと言う理念です。団体自治は、地方自治は団体の意思と責任の下で行われるべきで、中央の従属でなく、独立した存在なのだと言うことです。
前号では、地方自治が民主主義の根幹と言われる住民参画、参加を育て、自立していく村民と共に、豪雪、多病、貧困の三つの大きな問題に取り組み、住民自身が地域を、そして行政を、地方自治を築いていく活動の中で、その軸となっている、さわうち病院や保健活動を振り返りながら、今を問いかけてきました。
今号では、JA長野厚生連の佐久総合病院を軸に、長野の農村、農民の命、暮らしに向き合ってきた活動を垣間見ようという試みです。医療という公共性の高い活動と事業を長野県内で築いてきたJA長野厚生連の活動に拡がっています。
今年亡くなられた早川一光さんは、よく佐久の農村医療や若月俊一さんのことを医療の原点だと語られていました。今号で紹介できたことをうれしく思います。
「JA長野厚生連は、JA綱領のもとに医療活動を通じ、組合員・地域住民のいのちと生きがいのあるくらしを守り、健康で豊かな地域づくりに貢献します」と理念を示されています。
「JA綱領は、JAの組合員・役職員は、協同組合運動の基本的な定義・価値・原則(自主、自立、参加、民主的運営、公正、連帯等)に基づき行動します。そして、地球的視野に立って環境変化を見通し、組織・事業・経営の革新をはかります。さらに、地域・全国・世界の協同組合の仲間と連携し、より民主的で公正な社会の実現に努めます。このため、わたしたちは次のことを通じ、農業と地域社会に根ざした組織としての社会的役割を誠実に果たします。」
(厚生連のホームページ等参照してください)
地方自治を守ること、医療や保健の公共性を守り発展させることは、社会福祉を守る運動と多々共通し連動しています。前号と今号の特集を通して、公共における健康で文化的な最低限度の生活を考えたいと思います。 (編集主幹)
【ひろばトーク】 きょうされん兵庫の挑戦
─権利としての社会福祉を実践できるように─ 加山吉恵
●特集● 長野県佐久・小諸地方の地域づくりと佐久総合病院のいま
長野県佐久・小諸地方の地域づくりと佐久総合病院のいま 西村憲次
「医療は住民のもの」を掲げて─佐久病院の分院を小諸にほしい 依田発夫
佐久総合病院の概要と今後の医療 伊澤 敏
●サブ特集● 第24回社会福祉研究交流集会in大阪
第24回社会福祉研究交流集会in大阪に参加して 山本八重子
利用者の思い・願いに本気で寄り添い、その人らしい人生を支える 塩見洋介
本気で語り合える関係性づくりが職場の明日をかえる 多久和令一
地域包括ケアを多角的にとらえる 吉見賢治
福祉の実現は平和の礎 石倉康次
貧困の広がりに対して、日本の社会福祉はどこまで対応できたのか 唐鎌直義
『福祉のひろば』をとおした「総合的」な福祉の学び 上西克明
憲法が活きる国づくりをともに築いていきたい 桑原一章
研究交流集会参加者の感想
写真で見る今回の研究交流集会
第23回合宿研究会in京都開催お知らせ
●連載●
社会福祉研究に人生あり!
「労働の社会化」と「貧困化」 相澤與一
相談室の窓から 大人の発達障害について考える(その2) 青木道忠
育つ風景 無表情という意思表示 清水玲子
「助けて!」って言ってもええねんで!
「親を追い詰めない社会」を考える 徳丸ゆき子
ひととしてあたりまえに生きたい
私の人生を変えた出会いと、ろうあ運動のはじまり 清田 廣
映画案内 永い言い訳 吉村英夫
現代の貧困を訪ねて
台風被害と野宿者のテント村 生田武志
似らすとれーしょん道場 似顔絵まんがアート
ペットの似顔絵を描くのじゃー! その2 ラッキー植松
ホームレスから日本をみれば ありむら潜
花咲け! 男やもめ 川口モトコ
みんなのポスト/福祉の動き/今月の本棚/
●グラビア●
長野県佐久・小諸地方の地域づくりと佐久総合病院のいま